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障子の張り替えとGoogle翻訳

そろそろ年末が近づき、障子の張り替えを考えたりしています。もうだいぶ前から、貼りやすい障子紙や張り替え用の便利な用具(古い障子をきれいにはがすための液体とか)が出回り、素人でも簡単にできるようになっています。

そうは言っても、もちろんプロから見たら、「うわあ、汚いなあ」というようなデキにしかなりませんけどね。でも、大してきれいでもない家ですから、 ちょっとたわんだような障子でも、ま、いいか、ということになる。わざわざお金を払って、業者にやってもらう必要はないかな、と。

そんなことを考えていたら、翻訳にも同じことが言えることに気づきました。例えば、次のような英文をGoogle翻訳で自動翻訳してみます。

We regret to inform you that your novel does not meet our publishing needs.

「我々は、あなたの小説が私たちの出版のニーズを満たしていないことを知らせるために後悔する。」

なんじゃこりゃ?というような翻訳ですが、ちょっとカンのいい人なら、「ああ、出版社に送られてきた小説の原稿を突っ返すんだな」と、見当がつくのではないでしょうか。

We regret..... というのは、ご招待を断るときなどの「断り文」に使う決まり文句で、「残念ながら」という意味です。We regret to inform は「残念ながら、お伝えしなければなりません」というニュアンスですね。Google翻訳さんはその部分を知らないだけで、後はまあまあ訳せているのではないでしょうか。

10年前に英語の知識のない人が訳そうとしたら、辞書を引いて四苦八苦しても、この程度の訳文にすら到達しなかったかもしれません。それが、インターネットでの自動翻訳という便利なものができて、変ではあっても、だいたいどんなことが書いてあるかはわかるようになった。

そこで、社内で会議に使う資料ぐらいな ら、自動翻訳を使って、社員がちょっと手直しすれば、プロに頼む必要はないという考え方になります。そんなわけですから、自動翻訳とは明らかにレベルが違 う翻訳で、外部に配布する文書やウェブサイトの文章として、そのまま使えるような日本語の訳文が書けない限り、翻訳で食べてゆくことは難しい状況です。

私が翻訳の仕事を始めた30年近く前は、ちょっと英語を読むことに慣れていて、辞書の引き方を知っていれば、仕事がありました(すご~く安かったけど、大量にあった)。Google翻訳とあまり変わらないようなレベルでもね。

今は、最初のとっかかりが難しい。卵さ んたちから見ると、のっけから前に立ちはだかるのは絶壁!という感じかも。ただ、そのかわり、インターネットは翻訳の勉強も強力に支援してくれるわけです から、その点は、仕事をしながら試行錯誤を繰り返すしかなかった昔よりは、ずっとラクなはず。がんばって勉強してください。

ちなみに、上の例文は下のマンガの台詞をちょっと簡単にしたもの。

Allan_typoe121109

マンガの意味、わかりましたか?

エドガー・アラン・ポーをエドガー・アラン・タイポーにもじってあるのね。ミススペルのことを typo というので、それと掛けてある。

で、上の吹き出しの中の The Ramen というのはポーの有名な詩 The Raven を1文字だけミススペルしてしまった、という設定です。


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