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2017年7月

セミの季節

おっさん猫も16歳ですから、じいさん猫に改名すべきではないかと思う今日このごろ。

そんなわけで、セミ狩りをしようにも、なかなか体が俊敏に動かず、どうやら黒猫2号をベランダに派遣して、狩らせているようです。とってきたセミを2匹でしげしげと吟味していたかと思ったら、じいさんがガバとくわえて、

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黒猫にとらせたセミを独り占め!ムシャムシャ。痩せさらばえた老体の割には健啖ぶりを発揮しております。

で、例によって、羽は残す。

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18. いずこも世知辛い時代です

旧市街まで宿から歩いて10分ぐらい。ハバナの街を南北に貫く大通りは、車線を分ける分離帯が広く、良い散歩道になっています。左右に三越のライオンみたいのがいたりして。

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宿は海の近くなので、そこから南へ、革命博物館とか現代美術館とか、観光スポットに寄りながら、賑やかな旧市街の中心まで、テクテク。博物館・美術館の展示方法は旧式です。内容は面白いけどね。メキシコの博物館のような、鮮やかなデザインやトガッた美意識はなし。

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大聖堂とその前の広場。

Havanabar170721

ちょっとコーヒー休憩。どこも改装されて、きれいになっているのが良し悪しで、飲み食いするところが清潔なのは結構なことですが、雰囲気はねえ~。ないですね。まあ、良くも悪くも観光地です。

Lunch170721

夕食。まあまあだったけど、今ひとつピリッとしなかった。舌がメキシコの食事に慣れてしまったのかも。この前に「お通し」みたいな感じでバナナチップがついて、飲み物を頼んで、全部で9.0 CUC。900円ぐらいだから、日本とあまり変わらない。とにかく、キューバ観光を安く上げるのは無理。中南米を旅行した後でキューバに寄る場合、気持ちの切り替えが必要ですよ。

宿に戻って、カサパティクラールの経営者夫婦とおしゃべり。イタリア人男性のステファノとキューバ人女性のエリスのカップルです。ステファノは英語ができるので(ちなみに、そもそもイタリア語とスペイン語はとてもよく似ているので、スペイン語はすぐにできるようになったそうで)、スペイン語と英語のチャンポンでね。

彼女の知り合いからアパートを借りて経営していて、自宅は別にあり、小さな女の子が1人います。夜間など、自分たちが来られないときは、彼女の両親のどちらかが手伝いに来ていました。

ステファノはイタリアで携帯電話会社の中間管理職だったのですが、このご時世で、リストラの嵐が吹き荒れ、どんどん社員が減ってゆく。となれば勢い、残った社員がモーレツに働かされ、会社から持たされた携帯に土日でもバンバン電話がかかってきて、全然休めない。激務にヘトヘトになりながらも、今ここで辞めたらもう次の職は見つからないという恐怖心で、なんとか頑張っていましたが、結局は彼も肩を叩かれる日がやってきました。

リストラの条件として、次の職を紹介してくれることになっていたのですが、その新しい職では、給与が前の会社のほぼ半分。以前に出張で行ったキューバで出会ったエリスとメール友だちになっていたので、メールでいろいろ愚痴を聞いてもらっているうちに、

「もうキューバに来ちゃいなよ!」
「ええ~。どうやって食っていくんだよお。だいいち、キューバに住むなんて無理だろ」
「なんとかなるよ。私と結婚すればいいじゃん」
「はあああああ~~~~?」

ビックリ仰天の展開で、でも、どうにかなってしまったんだそうです。この宿も、客室はたった2部屋だけど、宿帳を見たら、ビッシリ予約が入っているし。

この夫婦もそうだけど、なにしろ国民全員が「特別な時代」を乗り越えてきたわけですから、命がけで国外に脱出するか、さもなければ「なんとかする」しかないわけ。だから、キューバ人は「なんとかする」ことの名人です。

追記:ステファノ自身はキューバに移住したことをどう評価しているのかというと、イタリアとキューバでは経済規模も平均所得も段違いだし、現在の所得をユーロに換算したら、とんでもなく低い。でも、その低い所得で、どんな生活が送れるかといえば、やはりキューバに来て良かった、という結論だそうです。

「だって、ヨーロッパの人が、のんびりするためにわざわざ高いお金を出して来るところに、こちらは住んでいるんだからさ。そういうところにいて、仕事はあまりないから、人生を楽しめるよね」

しかし!妻のエリスの方は、ちょっと違う。両親も彼女自身も、「ビジネス」(宿の経営以外にも何かやっているらしい)を広げたいという野心が満々。子どもの将来のためにも、政府にもっと観光に力を入れて、経済改革を進めてほしい。

「だって、この数年で、ずいぶんキューバも変わったでしょ?」
「それでも、まだまだ遅すぎ!進んだかと思うと、またちょっと戻る!」

という案配で、欲求不満が溜まっているようでした。

17. 公園でダンス

さて、ハバナです。20世紀前半のギャングに支配された「酒と女」の享楽の巷でないことはもちろん、もはや「革命」は観光客を呼び込むための「ブランド」と化しています。団塊の世代でゲバラに憧れた方などは、ガッカリするかもしれませんが、廃墟同然だった市街が蘇ったのは、観光地としての再開発のおかげなんですから。

ソ連からの支援が止まり「特別な時代」に突入したキューバは、観光による外貨獲得に狙いを定めました(ほかに何もないから苦し紛れだったような気がしないでもない)。そこで登場したのが Eusebio Leal(エウセビオ・レアル)さん(どういうわけか、日本で叙勲されています)。歴史学者だったのですが、1994年からHavana Vieja(ハバナ旧市街)と呼ばれる中心地の再開発を任されます。

さすが歴史学者で、壁がはがれた状態の古い建物を壊すことはせず、すべて元通りに復旧するという方針を打ち出しました。テーマパークのような安っぽいものを作ることにも断固反対!その方針に従い、ユネスコの資金援助も取り付け、大規模な再開発事業を進めた結果、旧市街はかつての美しさを取り戻したというわけです。その結果・・

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バーン!こうなった。こういう1泊数百ドルの高級ホテルが林立し、冬のハイシーズンには、カナダとヨーロッパからの観光客で数ヶ月前から予約がいっぱい。(写真をクリックすると拡大写真が表示されます)

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これは中心だけで、ハバナ市内の繁華街でも、旧市街をちょっと出ると、こんな感じ。さらにはずれると、いまだに壁がはがれたままで、部分的に崩れた建物がズラリと並びます。

ブラブラ歩いて、一休みしようかなと中央公園に行ったら、なんせキューバですから。踊ってます。

料金を聞くのを忘れましたが、サルサのパートナーをつとめる係の人がいるので、一人で来ても踊れるよ。

追記:思い出した!キューバ滞在の最初か最後に、200ドルぐらいなら出してもいいから話のタネに、ハバナの高級ホテルに1泊したいと思って、2ヶ月前ぐらいに探したのだけど、それこそもう400ドルとかいう、とんでもない高い部屋しか残ってなくて、諦めたのだった。ローシーズンだったんだけどなあ。

続・ムーンライト:ファンはありがたいね

監督のインタビューを見たら、ホウ・シャオシェンの影響をあげていました。「百年恋歌」の構成をヒントに、少年時代からの成長過程を三部に分け、それぞれにその後の人生を決定する象徴的な出来事を描くことにしたのだそうです。

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そして、やはりウォン・カーウァイへのオマージュという要素もあるとのこと。で、ひょっとして、YouTubeでそのことを取り上げた評論があるかも、と検索をかけたら、まっまっ!世の中には偉い人がいるのでありました。

似たシーンを並べて編集した動画を制作。いやー、どれだけ時間とエネルギーを費やしたのでありましょうか。労作ですよね。

単に映画ファンであるとかウォン・カーウァイが好きというだけでなく、どうやらこの方自身、映画作りのキャリアへ進みつつある・・のかな?

ちなみに、こういうのって著作権はどうなの?と首を傾げた人がいるかもしれないので、一言付け加えておきますと、こういう評論・批評行為での「引用」は許可されています。

ムーンライト

アカデミー賞関係で話題にもなったので、説明はしません。詳しくはこちらをどうぞ。

Moonlight170704

ええ~、アメリカ映画なんでしょ~?なんてバカにしちゃだめですよ。ぜんぜんアメリカ映画らしくないから。うつむきがちで無口な主人公なのであります。アメリカ映画で「うつむく」主人公って、なんたるこっちゃ!

特に王家衛ウォン・カーウァイ)ファンは必見。あれ、このフレームの切り取り方、どこかで見たような・・というシーンが見つかりますよ。インテリアとか、背景の色調とか、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の好きな方にもオススメかな。

こんな静かな、いわゆる玄人受けする映画、アメリカで客が入るのかしらん?アート好きや映画ファンの間でカルト的人気を獲得するだけでは・・・と老婆心で心配したら、そんなことはないみたい。普通の人の間でもウケてるみたいよ。

ひょっとして、トランプ政権への反動で、アメリカ国民のセンチメント自体がシフトしたかな?

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