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第26回:ホームでアヌンと

ホスペットの駅に着いてから、だいぶ時間の余裕があったので、近所の大きなレストランで食事。だだっ広いだけで、ぜんぜんおいしくない。駅に近いと いう地の利だけで商売していると見た。客は全員、黙々と食べていて、おそらく全員、私と同じことを考えていたのだと思いますです。はい。

駅に戻っても、まだ1時間近く時間があり、時間つぶさないとなあと思いつつ、ホームの柱の前に荷物を降ろしたら、「ハロー」とお声がかかりました。

20代後半ぐらいの女性が、やはり大きなザックを柱に寄りかからせていたのでした。ブルーグレイのサルワールカミーズに濃紺のストールというキリリ とした服装で、髪は後ろに1本、太い三つ編みにしている。目がぱっちりした、「利発」という形容がぴったりの顔立ち。でも、実際は利発どころの話ではな く、知的レベルが抜群に高かったんだけど。

名前はアヌン。うらやましいお仕事なんですよ。建築が専門で、ハンピの遺跡修復プロジェクトに参加しているのだ!数日間、休暇がもらえたので、バン ガロールの自宅に帰るところだそうです。そこは実家ではなく、故郷はインド西部のグジャラート州。だから、両親とはグジャラーティ語で話し、仕事仲間や友 人とは英語で話し、デリーの大学に通ったので、大学時代の友人とはヒンディ語で話し、バンガロールやハンピはカルナータカ州なので、この州の公用語である カンナダ語も、カタコトぐらいならできる。すごいねえ。

日本から来たんだよと言ったら、「うわー!」と、ますます目を輝かせる。日本についていろいろ聞かれました。農村の話になり、過疎について説明したら、「インドで報道される日本って、国中が人とマシンと車であふれ返っていて、みんな忙しそうにしているっていうイ メージだけど、そんなこともあるのねえ」と、とても興味を持った様子でした。

私もインドのことをいろいろ質問したのだけれど、「今、インドの人口は・・12億ぐらい?」と、彼女なら即答できそうなことを聞いたら、ウウウ~ンと、しかめっ面になって、

「なんて難しい質問をするの!」

だそうです。つまり、国勢調査というものが、ほとんど不可能な状況ということ。確かに頷ける話で、例えばビハール州などの貧しい州からムンバイのような大都会に流れて来る何百万人もの人々を、行政はまったく把握していないわけで。

「10億以上もの国民が最低限、食べることができて、健康に生きて行けるようにするというのは大仕事だねえ。まだ衛生設備とか、ほとんど整備されていないみたいだし」という私の言葉に、

「食べる方はともかく、衛生状態は不可能に近いような感じね」

なぜかというと、「衛生」がなぜ重要なのかを、庶民に理解させることから始めなければならないから。ホスペットやハンピの周辺では、家の中が汚れたら、ゴミを外に掃き出す。排泄は外でする。それが常識なのだとか。「不潔」と「病気」を結びつけることができない。

そこからスイッチが入ってしまい、いかにインドが遅れているかという不満爆発!とにかくハンピでの仕事は頭がクラクラするほど大変で、いつ停電するかわからない。停電したら、何時間も待つことしかできない。必要な資材を注文しても、どこか途中で何かが抜き取られている。

「急成長とか21世紀の超大国とか、そんなこと、一部の金持ち階級だけよ!」

と、プンプンです。そんな風なので、「テクノロジー命!進歩あるのみ!」の人なのかと思ったら、そうでもなくて、インド映画の話題になったら、こんな話をしてくれました。

「学生の頃、みんなお金がなくて、1ルピーでも節約したいから、安い切符を買うために、並ばなくちゃならなかったの。いつも友だちといっしょに早く から行って、焼けるみたいに強い日差しの下で、傘を差して立ったまま、2時間も待ったのよ。それだけでヘトヘトになるんだけど、でも、楽しかったなあ。今 はインターネットで予約したりするでしょ。便利だけど、つまらないわね」

「私も便利な日本の鉄道よりインド鉄道の方が面白くて。人間的でしょ」と言ったら、アヌンはニヤリとして、

「ちょっと人間的すぎるけどね!」

ハハハ。同意同意!

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